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気まぐれ日記 2000年2月

2月1日(火)「1月15日の日記に反響・・・いいぞ、の風さん」

 1月15日の日記に、「私怨を小説にするのはけしからん」てなことを書いた。 ・・・と、本日、尊敬している涌井さんから以下のようなメールが届きました。

 風さん日記を楽しく読んでおります。文面から、精力的な様子がよくわかります。さてさて、教えてください。日記に「個人的な怨みを時代小説に置換えている」という事件が書かれています。文筆家の場合、情念だとか、抑えがたい感情だとか、もちろん怨念なんかを書きたいのではないでしょうか。書くことによって癒されるという側面はあるのでしょうね。もちろん、読み手がいるので、個人の怨念をそのままストレートに吐き出してしまっては作品にはならないわけですが。怨念を読まされるはめになった読者は、だるい気持ちになってしまうでしょうね。私は、自分でも承知していたのですが、あるエッセイを怨念の発露から書きました。ずっと気になっていました。もちろん、ストレートな書き方はしてないのですが、やましい気持ちはもっていました。何を教えてもらいたいのか分からなくなった。つまりですな、風さんの場合、書くことによって癒すもの、癒されるものは何なのでしょうや。

 それで、以下のような愚見を開陳しました。

 私はペンの暴力を感じたので、ホームページで吠えたわけですが、もちろん創作のためにはそれなりのエネルギーが必要です。カッコいい言い方をさせてもらえば、私は世の中のためになることを自分の人生でやりたい。そのためには負のエネルギーでなく正のエネルギーを使って、気持ちいい作品を書きたい。お客様に読んでもらうのがプロの仕事ですから。負のエネルギーを吐き出すために小説を書いてもいいけど、それを公開するのは、醜い自分のヌードをネット上に曝すようなもの(見てるから言えるか、これは)。日記に書けばすむことを、プロやセミプロは売文に書いちゃいけないと思うんですけどね。

 ということで、書くことによって他人を癒すことができれば理想。書くことは結構つらいので、まだ自分が癒されるような気はしない。だから、癒されるために書けるほど達人の域にはなっていない、ということかも。

2月2日(水)「信じられない・・・の風さん」

 今夜遅く帰宅したら、出版社からFAXが届いていて、な、なんと!「円周率を計算した男」の在庫がなくなったので増刷する、との知らせ。これで5刷になるわけです。一瞬、信じられない(アクセントは女子高校生風に)と思ったのだけれど、これはきっと、今このホームページを読んでくださっている皆さまのお陰だと気が付いた。ありがとうございます。これからも応援してください。よろしく。

2月3日(木)「え? 会社でこんなことして、いいの?」

 会社のことを書くなんてめったにないこと。それを読めるあなたは幸運かも。

 定時後に、上司と同僚十数名に30分間のフリー・プレゼンのチャンスがあり、若桜木虔さんの「作家養成講座」の一部を講義した。そこそこ仕事もしているので会社内とはいえ、作家としての私のキャラクターは公認に近いのだ。と、本人は勝手に思っている。

 i歴協の話から若桜木さんのプロフィールを紹介し(何とか速筆の秘訣を学びとりたい人だと言及し)、「プロの小説家として通用する文章とは」というところをOHPも使用して平易に解説した。悪例をもとに、視点のブレや描写の手抜きを理由付きで説明すると、一様にへえーっと驚いた表情だったし、若桜木さんの改善した文章を読んで聞かせると、もう感動しているのがこちらの肌に伝わってきた。読者というのは、作家の文章の魔法にかかって、ものの見事に主人公に感情移入させられていたということが、今夜の私の説明で多少なりとも理解できたようだ。明日から希望者に若桜木さんの本を貸し出して宣伝することにより、若桜木さんからの恩恵へ少しでもお返ししたい。

2月4日(金)「ふーっ。ようやく週末だ・・・の風さん」

 せっせと日記の更新をしていて、余裕があるように見えたでしょうが、実は私にとって早起き夜更かしの連続で、なんとかインターネット座談会に参加するべくパソコンに向かうのがやっとという状態でした。こういう時はインフルエンザの魔手にひっかからないように気を付けようっと。

2月5日(土)「座談会は快調・・・の風さん」

 午前中、体育館へ行ってフィットネスをしてきたが、フルメニューに近いかたちでこなしたため、帰宅後ダウンして昼寝した。でも、体重も血圧もまずまずだったので、安眠できた(私、血圧が高いんですよね)。

 インターネット座談会は、i歴協(日本インターネット歴史作家協会)のメンバーだけで構成されているため、普段のメーリングリストの雰囲気になってしまい、作家の手の内を、何の抵抗も警戒心もなく暴露しだしている。作家の手の内なんて、公開したって、作家志望者が簡単に真似できるものではないので、盗まれることは気にする必要はない。けれども、その手の内が誰の手の内かということは、読んだ人によっては、大いに気になることかもしれない。緻密な作品を書く人だと思われていたのが、意外と大ざっぱだったと思われるのは心外だろうし、あまりにも技巧に走っていることが分かり、才能だけで書いてはいなかったのか、と失望される心配もある。

 とにかく、10日まで続く座談会。最終的にどんな形で編集されるのか、大いに気になる、きょうこの頃である。

 1月31日の Arnie さんの「カレイ釣り」は、釣れなかったそうです。「ぶどう園」での小作人仕事は、たっぷり汗をかいたようです。

2月6日(日)「カウントダウン・・・の風さん」

 実は書き下ろしのプロットを2月1日に出版社に郵送したら、2日のFAXでOKの返事で、事実上のGOがかかった。それでも、長編は初めてなので、全編を10分の1に圧縮した梗概に取り組んでいる。これを何とか2週間(だからあと1週間ね)で作って、出版社へ送ろうと思う。そうしておけば、全部完成していなくても、1章とか2章ずつできたところから送付して、第1稿(今は500枚前後かなと踏んでいる)を送り終わったら即打ち合わせができると思う。それを4月14日(金)に設定することにした。かなり厳しい日程ではあるが、そこまでたどりつけば、ゴールデンウィークもあるので、後は着々と修正できるであろう。前回の「円周率を計算した男」と同様に、8月出版ぐらいになるのではなかろうか。このホームページをペースメーカーにも利用して、がんばってみる。皆様、応援していてくださいね。

2月9日(水)「ボケているヒマもない・・・? 風さん」

 インターネット座談会は、残るところ今日と明日の二日間だけとなった。私は毎日ひとことずつ発言させてもらっているが、全員息切れが近い。最初に力み過ぎたのと、やはり10日間は長い。この間に、小説としての新味、オリジナリティの出し方というテーマで、キャラクターの設定や文体、切り口などさまざまの話題で議論をかわしてきた。さすがにプロの作家集団だけあって、みな独自の小説論を長々とぶつのである。ただ意外にも共通意見が多かったのは、今回の15人のレベルか作風かマインドがそろっていた気がする。

 私の書き下ろしの梗概であるが、プロットはできていても、10分の1に圧縮した梗概は簡単にはできない。ただ、書き続けなければ先に進まないので、苦しいながらも書き続けている。相当いい加減に書いているので、あとでリファインがすっごく大変そう。でも、来週明けには何とか郵送したい。

 実は、上で書いたこと以外に、今度の土曜日につとめる媒酌人の挨拶原稿を準備している。参考書があるので、よっぽど楽だが、まだイマイチ気に入らない。これも何とか明日には完成させたい。・・・ということで、やはり多忙なんですな、今日、とんでもないドジ(大ボケ)をやらかしました。ああ、言うも恥ずかしい、こんなこと、とても言えない、でも、言っちゃおうっと。今朝、会社の席に着いたとき、な、なんと左手の薬指から結婚指輪が消えていた! あーっ。しゃべってしまった。でも、本当です。事実です。いつ紛失したか、全く心当たりがない(当たり前だ。気付いていたら、なくすわけがない・・・とは言いながら、これは明らかにボケの前兆だ)。あわててハンガーのところへ行き、コートのポケットなど調べてみたが、ない。うちへ電話をかけ女房へ事情を打ち明け(こんなことを、よく平気で言えるって? 実はね、実はが多すぎるけど、2度目だったのです。前回は、朝食をとった時、テーブルの下に落としていて、女房が発見してくれた)、前回と同じテーブルの下とかベッドの中とか、果ては物置の中まで色々探してくれたが、どこにもない! ということで、私はパニック状態に陥ったのであった。

(この続きは明日、更新時に)

2月10日(木)「若桜木さんの速筆の秘訣・・・解明できず」

 期待を持たせた<指輪紛失事件>の結末は、次のようなものであった。現在から過去へたどれるだけたどるしかない、と結論づけた私は、出張の機会を利用して、今朝の出勤ルートを逆にたどりながら、視線を地面に這わせていった。そして、駐車場のマイカーのドアを開けた瞬間、ハンドルの下で輝く金とプラチナのリングを発見したのであった。むろん、そこにいつから存在するのか、確実に今朝からだという自信もないのであった。いずれにせよ、ホッと胸をなでおろし、さっそくケータイで女房へ失せ物発見コールをしたのは言うまでもない。あー、それにしてもボケたくないものだ。

 インターネット座談会が今日で終了する。最終日なので、皆にお礼の言葉、月刊公募ガイドのスタッフの方にお疲れさまの言葉を残した。どんな形で掲載されるか楽しみである。発売が決まったら、ここでもお知らせします。

 若桜木さんから送ってもらった「不沈戦艦強奪作戦発動」をようやく読み終えたので、そこから気付いた速筆の秘訣を書いてメールを出した。しかし、結論は<速筆の秘訣解明できず>であった。ひょっとしてデタラメが多いのかと思ったが、戦艦のデータや土地、軍事関連の考証などは正確を期しているとのこと。そのような作品が、テレビを見ながらの執筆で2週間ほどで完成してしまうなんて、おお、神様はあまりにも不公平すぎる! 今朝、上の本はArnie さんへ渡った。社内に若桜木ファンを開拓するのが、私が受けた次の作戦指令かもしれない。

2月11日(金)「古本屋から喫茶店へ・・・の風さん」

 何の変哲もないタイトルだと思われるかもしれないが、久しぶりに至福の時を過ごしたのである。12日に豊橋まで媒酌人の大役をつとめるため出かけるので、岡崎の妻の実家へ家族で移動した。実家のすぐ近くには古本屋とお気に入りの喫茶店がある。夕食前のひととき、さっそく独りで出かけた。天井近くまで積み上げられた本に圧倒されながら「読みたいけど、どうせ読んでいる時間はないし・・・、せめて参考資料だけは」とつぶやきながら、「遊芸師の誕生」(増川宏一/平凡社選書)と「サムライと横文字」(惣郷正明/ブリタニカ出版)を購入した。前者は碁打ち・将棋指しの歴史を解説したものだし、後者はザビエル以来の西洋文字に触れた武士たちの苦労話を書いたもの。いずれも和算の関連書籍の範疇である。続いて、喫茶店へ移動して、コーヒーを飲みながら持参の資料を読んだ。遅筆の上に遅読の私は、読んでいない資料が山積みされていて、その一部である。「創作は時間に関係ない」などとうそぶいているが、いやしくも時代小説をめざそうとする限り、資料読みとは縁が切れないわけで、こりゃ、やはり「時間も関係ある」と認めざるをえない。カップが空になったころ、コーヒーのお代わりのサービスがあった。ここを気に入っているのは、これではなく、年中からっとした空気と静かな音楽、大きくてゆったりした椅子という組み合わせが読書に最適だからである。今日はウェイトレスはいなかった。念のため。

 就寝前に「心は孤独な数学者」(藤原正彦/新潮社)を少し読んだ。新田次郎が父親だから、というわけではないだろうが、御茶ノ水女子大学数学教授の藤原先生、実に文章が優れている。構成も工夫されていて、エッセイストとして超一流だと思う。そして、数学者の内面の考察については、小説の参考になった。とにかく、おすすめの本のひとつである。

2月12日(土)「どうすりゃ、あんな息子や娘に育つのか・・・の風さん」

 媒酌人をつとめるのは、おととし以来2回目である。披露宴ではほめちぎるのが相場というものだが、周囲の評価が一様に一致しているという点で珍しいカップルではなかったろうか。優秀な新郎としっかりした新婦。二人の共通点は、明るくて前向き、サービス精神豊富、人柄の良さ、である。他人の気持ちを推し量ることができる、現代の若者には少なくなった貴重なタイプではなかろうか。不思議なもので、披露宴に出席している友人たちの振る舞いを見ていると、それが二人のキャラクターをくっきりと投影していることがわかる。類は友を呼ぶ、とはいうけれど、余興もスピーチもソツなくて、何とも、よくできた息子や娘たちが一堂に会しているような、そんな披露宴だった。

 あーあ、うちの子たちは、とてもああいう風には育たないだろうなあ。帰路、ため息ばかりついていた、媒酌人および媒酌令夫人であった。

2月14日(月)「梗概を書いたぞ・・・の風さん」

 プロットから2週間。書き下ろしの梗概をA4で18枚にまとめた。日曜日は、フィットネスやピアノレッスンも中止して、15日深夜午前2時までかかって、なんとか郵送できる状態にした。ここまで来れたのも、速筆の若桜木虔さんという超お手本があったお陰である。明朝、出版社へ郵送するが、次の目標は2カ月で第1稿を完成させることである。今までの自分のペースから考えて、まず無理な目標だが、若桜木虔さんなら、大楽勝である。若桜木虔さんも人間である(つまり怪物ではない)ことを頼りに、がんばってみようと思う・・・とは言いながら、あの人は並みの人間でない気が、やはり、する。

2月15日(火)「梗概を郵送。ふうっ・・・の風さん」

 人間、目標があると頑張れるものだ。寝たのは今朝の2時過ぎだが、ちゃんと普通に起きて、出社(むうっ! この単語がつらい。作家としての実力の無さを象徴している気がするからだが)。昨夜の梗概をポストへ投函した。よし。

 今日は15日で、普通なら新鷹会の勉強会のために上京するのだが、今日は会社の(むうっ! この単語も・・・)上司の博士論文の公聴会へ出席するため中止した。上司にいい顔するために出席したのではなく、博士論文の公聴会というものを勉強したかったからである。大学によってやり方はさまざまかもしれないが、貴重な1事例研究にはなるはずである。

 寒風吹きすさぶ午後、職場の仲間と一緒に、車で名古屋の某大学へ向かった。自分の修士論文の発表会が大きな講義室で開催されたのと違って、高校の教室ぐらいの広さの会議室が会場だった。しかも築何十年になんなんとする古さ。セピア色に変色した写真が飾ってあったり、目的不明の流しがあったりした。「笑点」のカレンダーがぶらさがっていたのが、大学生の存在を妙にアピールしている気がした。公聴会は教授が4名ほどと以下大学側の出席者が10名強、会社側からも10名強の出席があり、こじんまりしたものだった。上司はOHPを使用して論文を50分程度プレゼンした。会社の様式そのもので、分かりやすい内容だった。私としても、初めて論文の全体を把握し、新しい理論がコンピュータ計算に向いたものであるという価値を理解することができた。プレゼン後の質疑応答は、教授側から現実世界に関した質問が多く(これは意外だった)、上司の謙虚で的を得た回答が印象的であった。

 上司が博士号を取得したことで、私も、人生の大きな目標へ向かって行く勇気を与えられた。公聴会のあと、仲間と別れ、独りでパソコンショップを覗いたりして、電車で再び帰社(むうっ!)した。今夜、携帯電話の機種変更を行い(今度で4台目。1年も間があくと、機能の進化がいちじるしいので)少しうれしい。書き下ろしにメドが立ったら、携帯用にノートパソコンも狙っている。

2月16日(水)「頭痛がひどいぜ・・・の風さん」

 詳細は書けないが、会社では多忙である(これで生計を立てているのだから当たり前だが)。 

 日中、持病の頭痛が出たまま帰宅すると、「大衆文芸2月号」が届いていた。今回は、私の文章が載っている。このホームページのことを、エッセイで紹介しつつ、お世話になった鈴木輝一郎さんのことも宣伝しておいた。書店で販売される雑誌ではないので、興味のある方はこちらをクリックしてください。

 頭痛のため早めに就寝。

2月17日(木)「天候不順で、視界良好・・・なわけない風さん」

 このところ雪が降ったり止んだりしている。今朝はとうとう毎日利用している有料道路が通行止めになったため、市街地を大きく迂回して遅く出社した。途中で、鈴木さん宛の「大衆文芸」を投函。今日も多忙な1日で、精神的な疲労感も重く、創作活動は停滞中。

2月19日(土)「奥の院は遠かったぜ・・・の風さん」

 15日の記事で書き忘れたことがひとつ。新鷹会の勉強会というのは、東京の代々木八幡という神社の講堂で行われているのだが(そこが平岩弓枝先生の御実家になっていることもあり)、今月は松岡弘一さんを取材する目的で、某ケーブルテレビがカメラを持ち込むとのことだった。結果は来月聞くことになっているが、関東地方の方は見られるかもよ。

 さて、18日からプレイステーション2のネット販売が開始ということで、昨夜から挑戦を始めたのだが、大混雑、ジャム、集中、というわけで、全くアクセスできず断念。今日、再びトライ。午前中は、ソニーのホームページからプレステのページまでは何とかつながるようにはなったが、その先へ進まない。昼食後も折りを見て再再トライを敢行。今度はマニュアルを読んでみると、ユーザー登録が必要であることが分かり、この登録画面に入れない。そうか、初めての人も多く、こんなところでもてこずっているわけだ。そして、夕方の何度目かのトライで、ようやく登録画面にたどりついた。IDとパスワードをゲット。こうなれば、続けて注文、と意気込んで、「ショッピング・カートに入れる」をクリック。ワクワクして画面を見つめていると、購入規約を読んで「同意」するかどうか聞いてくる、買うために処理しているのに、今さら同意しないもあるものか、と怒りの「同意」クリック。すると、今度は「御請求先の登録」と来たもんだ。住所とクレジットカードNOを登録してクリック。ここまで進んでいるのに、なかなか次画面が現れないのは、同時並行でアクセスしている人がわんさといるということか。だいたい注文事務画面なのに、画像が多すぎるぜ。こっちはISDN利用だから多少速いが、中には14.4kbpsなんてモデムを大事に使っている豪の者もいるかもしれないな、我慢我慢。次に出てきたのが「お届け先、お届け日指定画面」で、これは今まで入力した情報を再確認するのに等しいので、適当にOKしてクリック。さあ、次で終わりか、と思っていると、今度は「お支払い方法の指定」画面ときた。ばか野郎、さっき登録したじゃねえか、二度も聞いてくるな、と怒りのガッツン・クリック。そして、慎重居士のソニーとしては、またまた「最終確認」ページを見せて「注文」をクリックさせる。最後に、注文番号とサポートセンターの電話番号を教えてくれて、1週間たっても確認メールが届かない場合は電話してね、だってさ。こうして、ようやく「完了」ボタンを押すことができた。・・・と安心したところで、気がついた。プレステ2用のソフトも注文しなくっちゃ。最初から同じ処理を繰り返して「リッジレーサー」の注文を完了。この間、1時間1分14秒。ふうっ、奥の院は遠かったぜ。

2月20日(日)「若桜木さんペースはやはりきつい・・・の風さん」

 書き下ろしの初稿に取り組んでいる。目標は8週間である。15日にA4で18枚の梗概を郵送して1週間経過した。文章の推敲はおろか、時代考証もすっとばして書き続けている。梗概2枚分が終了したので、いいペースのように見えるが、決してそうではない。梗概は内容に比例していないからである。A4いち枚が原稿用紙50枚分なんていう部分もあるからだ。1週間で終了したのは、原稿用紙30枚分に過ぎない。もちろん「すっとばし」が多いので、30枚も書いていない。構想から脱稿まで2週間という若桜木さんの10分の1の速度が欲しい! とにかく、今日もピアノ・レッスン、フィットネスを中止して原稿に取り組んでいる。

 年が明けてから、アクセス・カウンタの速度が倍増して、月に200のペースになっている。ほとんど知人と思われるが、初対面の方、遠慮しないでメールください。人生は短いですぞ。

2月23日(水)「確定申告してみよう・・・の風さん」

 昨年の確定申告はワイフに任せ、ワイフも町の税務課の人か誰かに任せ、その人の指示通りに書いて提出して、何らチェックもしなかった。今年は、若桜木さん始め先輩作家のご指導もあり、真剣に(?)確定申告にのぞむことにした。・・・ということで、今夜、先ず昨年の書類をチェックしてみると、な、なんと明らかな損(そん、損失、マイナス)が発見された。サラリーマンが給与収入以外の収入が年間で20万円以上あった場合確定申告すること、というのが私のケース。それが印税や原稿料なんかだと、いちいち領収書を示さなくても、収入の30%までは経費として認めてもらえる・・・ハズのところが、25%しか計算していなかった。5%の差がいくらに相当するかは、追及しないでね。とにかく昨年は、4万円強の追加納税をし、小遣いにダメージが出たのである。

 続いて、それなら、今年はどうなるか、と計算してみた(昨年のケースでシミュレーションはできたので、すぐできると軽く考えた)。1回目の計算結果は、ジャーン! な、なんと30万円の追加納税と出てしまった。結果を見て、正直、涙がこぼれそうになった。若桜木さんへ送る「ごめんなさいメール」の文案を考えはじめた。でも、これが事実ならやむを得ない。元気いっぱい計算を始めた夫がみるみる落ち込んでいくのを、横にいたワイフが不思議そうに眺めているので、「実は・・・」と打ち明けた。「どれどれ」というので、申告書をワイフへ渡した。ああでもない、こうでもない、の質疑応答が続いた後に、ワイフが大発見。税制度の変更で、定率減税の計算を抜いてしまったためのミスということが判明した。さあ、これからが、経費の見積もりである。私の場合、創作活動のための上京(つまり取材とか営業、交際)と、購入図書費、パソコン・ワープロなど電子文具類の維持費がべらぼうなんですよね(趣味で楽しんでいるんだろうって突っ込まれそうではあるが)。・・・ということで、来週、申告書を郵送する予定なので、結果はそのうちはっきりするでしょう。日本の警察ほどいい加減なことはしていませんから、後ろに手が回ることは断じてありません。

2月26日(土)「時は過ぎ行く・・・の風さん」

 原稿が止まっているので、朝から、書き下ろしのための資料調査を開始した。主要な舞台となる切支丹屋敷の地理調査からである。ここは先月現地調査も敢行したところであるが、当時のイメージを描くにはまだまだ不足している。江戸の切絵図類3冊、江戸の地名辞典類2冊、切支丹関連の書籍たくさんをひっくり返して、うんうん唸っていると、出版社から「円周率を計算した男」5刷のサンプルが宅急便で届いた。同封されている手紙によると、先日郵送した梗概でOKなので、どんどん書き進んでくれ、とのこと。そ、そうなんだけど・・・。午後からは、初代宗門改奉行、井上政重の経歴や姻戚関係を「寛政重修諸家譜」で調べまくって、どこへ架空の人物をはめるか決めた。途中で疲れたので、メールのチェックをすると、相変わらずi歴協のメーリングリストは大にぎわいである。私は書き下ろしで多忙なので、しばらく遠慮しているが、遠慮継続。公募ガイドのネット座談会の編集は順調に進んでいて、4月号に8ページで特集が出る模様だ。夕食後は、作品に登場させる和算書をどれにするかでひと悩み。まだ助走区間なので、あまり高度なものでは読者に見捨てられる恐れがある。興味を覚えて且つ平易なものを、と考えて「割算書」「竪亥録」「因帰算歌」などを選定した。・・・そうこうしているうちに夜がしんしんと更けてしまった。

2月27日(日)「藤原先生のうれしいお言葉」

 拙著に対して多くの書評が出たことは既に書いた通りだが、書評を書いてくださった先生方から、幸いにもその後のコメントをいただくことがある。今回はお茶の水女子大学の藤原正彦先生(2月11日の日記参照)である。知人から次のようなメールをもらった。知人(MASA&ETSUとしておこう)は、藤原先生と姻戚関係にある。

 

 本日(2/27)法事にて一族集合したおり(といっても40名程度ですが)藤原氏に会いましたので,風さんのお話をいたしました.氏と奥様も 鳴海 風 という名前に印象が強いようで”鳴海さんは本名ですか?”という氏”本名はなんて言うお方”という奥様の問いに対し,お答えした次第です.(先日送られた手紙は本名で送られたんでしょうか?)さらに奥様の”東北のお方よね”と言う問いには私,存じておらず,”はて〜?”とお答えしましたが,今日HPを見るとかつて住んでいた所が秋田,宮城とのことで・・・風さんのこと少し把握.

また,氏曰く”鳴海さんは本を出すたび出すたびにその文が進歩していく事が恐ろしい.普通はたくさんだしてもそのレベルがUP&DOWNするものだが,彼は必ずUPしていくから驚いている”とのことでしたので,今また長編をかかれている旨をお話しておきました.

今度もさらにレベルUPが求められますね(少しプレッシャーをかけてしまった・・・)

風さんによろしくとのことでしたので不躾ながらメールいたしました.

執筆頑張って下さい.

 藤原先生はエッセイストとしても尊敬申し上げているし、作家としての大先輩新田次郎氏のご子息としてたいへん意識している。先月、NHK/FM「はかま満緒の日曜喫茶室」に出演されている藤原先生のお声も聞いたし、先生とは今後とも縁がありそうだ。きっといつかお目にかかれる日があるだろう。プレッシャーはきついが、今度の書き下ろしで、なんとか先生に評価してもらえる作品を書きたいものだ。MASA&ETSUさん、応援ありがとうございました。

2月28日(月)「風邪でワイフがダウン。一日主夫・・・の風さん」

 昨夜からワイフが熱っぽく咳をしているので、やばい、と思っていたら案の定風邪らしく発熱でダウン。うちは子どもが中1、小5、小3なので、ワイフがダウンすると、食事の支度がお手上げである。週明けの月曜日であり、病院へ連れていくと恐らく大入り満員だろうと判断し、とにかく安静に寝かせておくため、私が一日主婦ならぬ主夫を務めることにした。

 ワイフには、朝は特製ミルクセーキ、昼はなべ焼きうどん、夜はお粥を作ってやった。子供たちの晩ご飯は、弁当や寿司を買ってきたが、ウィンナーソーセージと目玉焼きも焼いてやった。

 私は主夫の合間に、せっせと原稿作成に励んだ。短い1日だった。

 気まぐれ日記 00年3月へつづく